丸太仕事
カテゴリー:建築について思うことつれづれ タグ:
木というのは、すべて素直にまっすぐ育っていてくれる訳ではなく、その立地条件によってクセをもった成長をしています。
特に、ここ上伊那周辺でも普通に見られる赤松はほとんど曲がっているといっても過言ではないでしょう。
昔はその曲がった特性を利用して、屋根の重みを支える重要な梁として重用されてきた訳ですが、最近のプレカット化(機械による刻み加工)によって、単なる欠点だらけの材料になり下がってしまっています。
現在、建物を建てる予定の地にも沢山の赤松が育っていた訳ですが、それをすべてタキモノなどにしてしまうのはしのびなく、できる限り使う方針で設計をしてみました。
と、図面を引くまでは簡単なのですが、いざ使うとなると、そうは問屋がおろしません。なにしろ一本一本曲がりが違う訳ですから、それらをうまく組み合わせ、納まるように工夫しなければなりません。
横に打つ水墨(基準となる線)も、二度三度と試行錯誤の上決めていきます。
こうして決めた墨にしたがって刻み、そして仮組。
ここで高さなどの最終チェックをしてようやく完成となるのです。
これだけ手間がかかる作業ですので、そう何本も簡単に採用とはいきませんが、そこに住む人が、その梁から、少しでも実際に育っている木を想像できるような建物にできれば、大工として喜ばしい限りです。