ハンパ大工への道(2)
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修行などというと、始業前に現場の掃除を済ませ、先輩諸氏が仕事をし易い様に、弟子が整え、就業後は道具の手入れ、研ぎモノを夜なべでこなす等、厳しい話を聞いていました。
しかし、私の所属していたところは、会社組織になってしまっていたこともあり、そういった古き良き伝統(?)は、過去のものになってしまっていました。
それでも、そういった話を兄弟子に当たる人に聞くにつけ、そうあらねばならないと、現場には一番で乗り込み、皆の仕事を盗むべくスケッチをしたり写真を撮ったりしながら片付けをする日々でした。
早く起きねばならないのは大変でしたが、そうして仕事を覚えていくのは、少しも苦痛ではなく、何人もの大工が入っている現場などでは、それぞれやり方に個性があり、それを毎日見ることができるのは、とても有意義なものでした。
そんな日々を過ごして4年。
まだまだ段取りなどは悪いものの、なんとか見よう見まねながら、一通り仕事の流れがつかみ出せた頃、何か物足りなさを感じ始めたのです。
勤めていた工務店には私のほかに常雇の大工が4人いました。すぐ上の方で15歳離れ、他は50~60歳代と大工としては一番脂ののりきっている時期でした。どうしても肝になるところや見せ場などは、その大工達の出番で、私といえば、下働きか下地づくりといった裏方仕事が主という暗黙の流れができてしまいつつありました。
本当はそこで我慢できるのが、出来のいい弟子なのでしょうが、早く仕事を覚えて一人前になりたいと思っていた私は、もっと色々なことができるところはないだろうかと、またいつもの悪い癖が頭をもたげ、方々を探し始め出したのです。
そんな頃、たまたま新聞で、昔ながらの伝統的な工法に則って、原木から材木を仕入仕事をしている大工さんが、群馬の山奥にいるという話を目にすることになったのです。
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