「請負う」ということについて
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大工をはじめとして、基礎、屋根、設備、左官、建具などそれぞれ独立した自営業者の協力によって一軒の家を造り上げていっています。
大工でもある私、富澤が、打合せ、見積、現場監理、施工などすべてを担当しています。
よって、年間にこなせる仕事量は、新築一棟ほか改修などが数件といったところが限界です。
段取りなどを工夫し、より効率のよい仕事ペースをつくり上げていくことは常に心がけておりますので、お許しください。
さて、最近、お施主さんが直接請負者となって、各職方にそれぞれ仕事を依頼するという仕事の形態を耳にします(設計事務所がその代行者となっているケースも見受けられます)。
相見積をとってできるだけ安く仕事を発注したいという、主に経済性を重視した観点からの発想なのでしょうが、果たして、初対面の職方さん達の技量を一枚の見積書から見抜くことができるのでしょうか?
職方さん達の仕事は、マスプロメイドされた工業製品とは違います。
同じ材料を選んで仕事をしてもらっても、その仕上がりはそれぞれです。
何度も繰り返し、仕事を依頼してきたメンバーであってはじめて、その仕事が金額が見合ったものであるかわかるようになると私は思います。
また、お互いが気持よく仕事を続けていくために、譲ったり譲られたりもしばしばです。
そんな職方さんたちの心意気まで含めて、見積書を読みぬかねばならないのです。
そんなことが一朝一夕にできるでしょうか?
長年の信頼関係があってはじめてわかるものではないでしょうか。
私にとって職方さんはいわば運命共同体でもあって、お互いの生活がかかった仲間であり、これからもお世話になっていかねばならない方達です。
そんな方達と共に、依頼された仕事をこなす。
それが請負者である私の役目であると思っています。