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今、手掛けている工事は近所に住む一人暮らしのおばあちゃんの家の手直し(ムラの中にはそういったお年寄りが沢山います)。

蔵と住宅がくっついた構造だったのですが、その境目から雨漏りがあり、蔵は倒壊寸前。
とにかく住宅までその影響が及ばぬよう、取り壊しを選択しました。

さて残された住宅部分。
屋根のケラバ(妻壁方向の軒先)は無く、壁も外壁は無く室内側の壁のみ。
板壁や漆喰壁とすれば元々の住宅ともマッチし見映えのするものになるとは思いましたが、
おばあちゃんの要望は「なにしろ私が達者なうちだけもってくれればいい」のひと言。
色々検討してみましたが、結局、壁は板金サイディングを選択ということになりました。

ムラの中の建物を見まわしてみても、今は様々な素材が使われています。
私の借りている家は、稼業が左官のためか、いわゆる新建材といったものはほとんどなく、土壁や板、木製建具のみの外装です(私が中古のアルミサッシを取り付けましたが)。
しかし、同年代のほとんどの古い家は改修時に、当時流行っていたともわれるサイディング材やアルミサッシなどによって張りくるめられています。
もし、それを以前のような素材に戻してやれば、それは見映えのするものになるのでしょうが、それには莫大な費用がかかることも必至です。
おばあちゃんの家もその典型でした。

この先そう長くは使われないであろう建物に必要以上のお金をかけることなどとても提案できるはずもありません。
それより、そこそこ快適に過ごせる家ができるかぎり安価で手にすることができた方が、おばあちゃんにとっても幸せに違いありません。

いわゆる自然素材や環境に負荷をかけない素材を否定するつもりはありません。予算のなかで許されるのであれば、できる限り使いたいと考えています。
しかし、何がなんでもそうでなければならないかとも決して思えません。
日々の暮らしの中で、もし余裕があれば、そういった選択枝もある。
その程度に考えています。

それより、よそからやってきた自分にこうして頼んでくれる、それだけでもう十分で、職人としてやりがいを感ずる大切な仕事のひとつなのです。

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手直し 大工を生業として25年。趣味の長距離走、渓流魚との戯れなど日々の思いを綴ってみます。

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