まずは命を
いつかはやってくるであろう大地震にそなえ、行政なども補助金を出し耐震改修を勧めていますが、多額の費用がかかってしまうこともあり、なかなか進んでいないというのが現状です。
今回依頼された案件も、築50年以上経った建物で、かつて耐震診断を受け、倒壊の可能性ありとされていたもの。
しかし、住まい手が高齢であること、以後だれが継続して住んでいくのか未定であることなどを考えるとなかなか工事に踏み切れずにおられました。
そこでお施主さん、その御家族の方とも相談した上で、仮に地震によって家が倒壊してしまうようなことがあっても最低限命だけは守れるような工法はないかと検討し、以下のような耐震工事を試みています。
それは一日のうちで一番滞在時間の長い居間(6畳間)の中に箱を作ってしまおうというもの。
窓、戸以外は耐力壁で囲み、天井は梁(4寸*6寸)を3尺ピッチで架けた上に1寸厚の無垢板、床は24mm構造用合板を3尺間に組んだ土台に直張り、構造部材は目に見えぬところですべて金物で緊結・・・といった仕様になります。
調べてみると、各社で似たような発想の元の製品が作成されているようなのですが、既存建物との取り合いはいまひとつの印象を受けます。
実際工事にかかってみると箱そのものの作成はすんなりといったものの、傾きや不陸(水平方向の高さの違い)のある既存建物との擦り付けをどうしていくかの点でやはり手間どってはいます。
それでもようやく先が見えてきました。
Kさんご不便をおかけしておりますが、安心してお住まいになられるようになるまであともう少しご辛抱お願いいたします。
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