自然素材を相手にするということ

     2016/09/16

notes17
建前も一段落し、板金屋さんが屋根工事中。
ようやく雨漏りの心配もなくなり、一安心できるようになりました。

大工のメンバーが壁下地作りなどの現場作業をしている中、私は、造作材と呼ばれる鴨居や敷居の製作にとりかかっています。
今回、愛知県足助町(現在は豊田市)の林業家の方から、檜の丸太を8t車2台分程度、分けていただいたものがあり、それを桟干ししておいたものから選んで使っています。

通常、材木屋から買う場合は、ある一定品質を希望すれば、それなりのもの(無節、上小節、特一等といったグレードがあります)を手に入れることは容易に可能なのですが、丸太からということになると、簡単にはいきません。

まったくの無節のものから、死節(枯れ枝になってしまった節のことです)だらけのものまで、ありとあらゆるものが混ざってきます。同じ丸太の中でも、部位によって様々なものがとれるので、製材の見極めはとても大切な作業になってきます。

私には、製材の見立ての技術はありませんので、それから後の作業、曳かれた材料をどの部分に使っていくのか、判断していくことが、最初の仕事になります。
この作業を「木拾い」あるいは「木取り」と呼ぶのですが、なかなかこれが迷うことの多い作業になります。
そこにある材料をできるだけ有効に、かつ見映えのする箇所に、よりいいものを使う、これが大原則なのですが、なにしろ材料は限られています。いいところだけを、選り抜いて使ってしまえば当然足りなくなってなってしまいます。さりとて何でもかんでも、やみくもに使ってしまえば、機能に支障を及ぼしかねません(例えば引き戸の鴨居などは目の通った良質のものを使います)。
そういった事のバランスを考え、何度も納まり先を変え、ようやく、加工の準備が整うのです。

今回も、丸二日かかって大凡の木拾いができました。
規格のそろった工業製品であればまずこんなことは必要のないことです。
というよりまずこういった非効率なことは排除することが前提でしょう。
また、材木でも材木屋から一定品質のモノを購入してくれば、だいぶ軽減される作業のはずです(通常、私もそうしています)。
しかし、こうして、材木の顔を眺めていると、ああ、これは多分あの丸太のあの部分から取れたものだな、あの曲がりは、こうして「アテ」(目が曲がって、くせが出ている部分をいいます)がでるんだななどと、普段では味わえない楽しみもあるのです。

モノつくりの現場では、効率的な作業、コストダウンが第一義に要求されています。
私もけっして否定はしません。
しかし、秒単位まで労働者の動きを計測し、作業能率のアップを図るような職場の光景を以前テレビでみましたが、果たしてその中で実際に働く人達の気持ちはどうなのでしょうか。少なくとも私には耐えられません。そんな中で創造的なひらめきが生まれてくるとはとても考えられないからです。

私たちの作っているものは、美術品や工芸品でなく、より工業製品に近いものであることは自覚しているつもりです。しかしその中に、少しでも遊び心や製作者の思いが反映できたらと常々考えていることも事実です。

そのバランスをとりながらモノつくりをしていく。
難しく奥の深い課題です。

 -建築について思うことつれづれ

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