手刻みへのこだわり

     2016/09/16

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現在、木造住宅のその構造部分(柱や梁といった根幹をなす部分)は、コンピュータ制御された、大規模な工場(プレカット工場)で加工されて現場にやってきます。

昔から、建前というのは大工にとって「ハレ」の舞台で、誇らしいものだったのですが、最近では、その当日、はじめて柱や梁とご対面するといったことは、決してめずらしいことではありません。むしろほとんどそうなってしまっているといってもいいでしょう。

私が修行した工務店も、当初は手刻みだったものの、じきにプレカットの洗礼(?)を受け、ほとんど刻まなくなってしまいました。よって私は墨付けをまったくすることなく、年季明けすることになってしまいました。

世の中のモノづくりの現場では、その生産効率を上げるために、分業化が進んでいることは、ご存じのとおりで、住宅産業とてその例外ではありません。

私のところでも大工工事以外の部分、基礎、設備、電気といった工事は当然のことながら外注工事として他の方にやってもらっています。

しかし、住宅の根幹をなす構造部分、これを人任せにすることは、どうしてもできないのです。
人に指示を出す技量がないと言われればそれまでですが、実際のところ、プレカットというのは最大公約数のところまでしかやってくれないのがほとんどで(それ以上頼むと割高になる)、自分が望むような納まり、仕上げには程遠いものなのです。

私が手掛けているのは、神社仏閣や文化財といった高価なものではなく、ごくごく普通の民家です。ですので手刻みだからといって、特別法外に値段を高く設定するわけにはいきません。使える道具、機械はフルに使って、できるだけ刻みの効率をあげ、その差を縮める努力をしています(その分、体はこたえますが)。

<参照>http://mokujin-no-kai.com/syokunin/tomizawa/col_10.html

声高にそこを強調するのは大工の美学(?)に反しますので敢えていいませんが(十分いっている!)、もし、もう少しその違いを理解してくださる方がいれば、我々のような、大工が生き残っていけると思うのですが・・・・

いや、甘えてはいけませんね。信念を貫くために、もっとできるところはないか常に探していかねばなりません。

 -建築について思うことつれづれ

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