再会
この冬に竣工した伊那市F邸。
こちらのFさんに引き合わせてくれたのが、その土地の以前の持ち主である横須賀のHさんでした。
実は10年程前、Hさんより住宅建築の相談を受け、設計、見積までさせていただいたのですが、力及ばずお話は他社さんに移ってしまいました。しかしちょうどその時奥様が体調を崩され、着工は断念、その後現在の持ち主であるFさんに土地が譲渡されたという経緯があります。
元々のHさんと私の接点は息子さんでした。
学生時代(といっても1年時のみ)私はスキー山岳部というサークルに所属していました。たまたまHさんの息子さんも7年ほど後(ですので私とは在学中は重なっていません)、同じサークルに入部されます。しかしその2年目、彼は南アルプスでの山行中、事故で帰らぬ人となってしまいます。そんな彼が愛してやまなかった山々が見渡せる土地で暮らしたいという思いから、ご夫妻はこちらの土地を確保されたのです。
着工を断念され、土地を譲渡された後も、ずーっと気にかけてくださっていたHさんが、地元の建築業者ということで私を紹介してくださったおかげで、Fさんと出会え、こうして住宅の完成に至ったのです。
そして先週、その家を見学にわざわざ横須賀から訪ねてくださいました。
窓越しにみえる南アルプスの山々を眺め、涙ながらに家を撫で てくださる奥様の姿を見たとき、一度は途切れかけてしまっていたご縁を、こうして再び蘇らせてくれたのはHさんご夫妻そして息子さんの雅之さんだったのではないか、そう思わずにはいられない再会でした。
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