手描きの意味
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現在はプランニングをしながら図面を起こしている段階なのですが、相変わらずドラフターと鉛筆で描いています。
CADにトライしたこともあったのですが、どうしても馴染むことができず、再び舞い戻ってきてしまいました。
今の時代CADくらい使いこなさなければ・・・そんな負い目もないといえばウソになりますが、心の中で師と仰ぐ建築家の丹呉明恭氏はこう語っています。
「私は今でも製図板とT定規を使って図面を描いています。この時我々は何をしているかというと大工に『なって』いるんです。設計屋さんはCADを使うようになってこの『なる』という能力が小さくなってしまいました。ものづくりの設計者としてそれによって何を失ったのか真剣に考えなければいけない。」
まさにそのとおり。
私も図面を引いている時は最終的な仕上がりを思い描きながら材への墨付けまで同時並行に行っている感覚なのです。
ですからその図面が仕上がった時に始まる見積、本物の材への墨付けへの移行はとてもスムーズです。
というよりその手順を踏まねばどちらへも進むことができぬというところが本当のところです。
傍目には何度も同じような線を引いてとても非効率に思えるかもしれませんが、我々のような大工兼設計屋はこうして手で描く事によって、図面を体の中に取り込み我がモノにしている訳ですから必須の作業といえるのかもしれません。