ハンパ大工への道(4)
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Y大工が刻んでいた建物はTさんが設計した建物でした。
通常、大工をはじめとする現場労働者は設計士をとても嫌います。
デザイン優先で施工の難しさを全く無視した納まり。
苦労して取り付けたものを、イメージと違うなどという理由で簡単に変更を指示する。
こちらは暑さ寒さの中で仕事をしているのに、自分らは室内でぬくぬくと線を引いているだけ・・・・
当然、すべてが全てあてはまるわけではないのですが、ほとんどの労働者たちはそういった視線で彼らを見つめています。
当初、Tさんと出会ったときもそんな気持で接していました。
が、どうも違うのです。
なにしろY大工をはじめとして、皆がとても楽しそうに、冗談を飛ばしながら話をしているのです。
一方、Tさんも大工たちに下働きを命ぜられるのを、これまた楽しそうに手伝っています。
そんな間柄ですので、少し厄介な納まりなども、大きな声で文句をいいながらも、大工たちはニコニコしながら仕事をしています。
それが、あまりにみえみえなポーズであれば、皆に見透かされそっぽを向かれてしまうところなのでしょうが、実に楽しそうに現場しごとを手伝っている。自分も一職人として仕事に携わっている。そしてなにより職人たちと一緒に働くのが楽しくて仕方がない。
そんな雰囲気が全身から伝わってきました。
そして私の参加した建前がTさんY大工による「建前学校」なる若い大工たちを育てていこうとするひとつの試みであったことを後に知ることになるのです。
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