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空師

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作業場の裏山から朝からチェーンソーの音が鳴り響いており、見上げるとなんと人が木の上にいるではありませんか。

そういえば山主でもある我が家の大家さんが「明日から山仕事の衆が入るでよろしくな」と言っていました。
なんでも山際にあるお墓周辺の樹木が大きくなり、大雪や風で石塔を倒すおそれがあるので、あらかじめ伐っておかねばならないとのこと。
しかし倒すには枝ぶりからしてお墓の方にしか倒せず、かといって重機が入れるようなところではない。
かくして人手によるこうした伐採方法になったようです(ちなみにこうした特殊伐採をする人達を「空師」と呼ぶということを以前テレビ番組で紹介していました)。

原理としては、まずあらかじめ倒す木より高いところに支点をとり(これを取るのにひも付きのパチンコ玉をまず使う。面白い!)、そこまでツリークライミングの要領で人間が道具をもって登っていきます。
また実際に伐る木は頭の方から伐っていきますので、また別の支点を設け、そこから吊りながら伐っては降ろしを繰り返し、徐々に頭を軽くして、最後に幹から倒していくのです。

こうして口で説明するのは簡単ですが、なにしろ作業する場所は地上15m以上の所。下から見ていても風で揺すられて危険この上なく見えます(学生時代、岩登りの真似ごとに挑戦したものの、その高さに怖じ気づき、以来遠ざかってしまっている私からみれば、神業以外のなにものでもありません)。

しかし、そこはプロ。下にいるパートナーとの息もぴったりで、きわめて段取りも良く仕事をこなしていきます。かくしてものの2日で、目的の木6本ほどを片付けてしまいました。

それにしても世の中には色々な職業があるものです。
そして、そこで働く人たちのこうした一つ一つの積み重ねによって、社会が成り立っているんだなあと感じさせてくれる出来事でした。

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空師 大工を生業として25年。趣味の長距離走、渓流魚との戯れなど日々の思いを綴ってみます。

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