建築工房 富澤

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役目を終えて

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独立して、まだまもない頃携わらさせていただいたでデッキを週末に解体しました。

雨ざらしの条件のところでしたので、腐りづらい米ヒバを使いできるだけ長持ちさせようと設計施工しましたが、やはり15年ここいらが限界、柱木口が束石に接している部分よりシロアリが入り、そこが致命傷になっていました。
お施主さんも塗装などのメインテナンスはしてくれていましたが、表面はともかく、こうした目の行き届かぬ部分は、木の本来持つ耐久性に頼らざるを得ません。
それでもここまでもってくれたのは、米ヒバだったからこそでしょう。

さてその解体。
ヒバの1寸厚の床板は75mmのステンレススクリュー釘で留まっており、バールでこじったくらいでは板が割れるだけでビクともしません。
お施主さんの要望で、廃材はすべて薪ストーブの燃料にということでしたので、釘を残しておくわけにはいきません。
結局、すべての釘を抜いてのバラしとなりました。

柱や手摺、土台を留めていたコミセン(ナラ製)はまだしっかりしていましたので、丸鋸で切断解体(大工の美学としてはコミセンをはずして元通りにバラしたかった・・・)、

そして最後に残った束石は、ご丁寧にも500mm長さのフェンスブロックを捨てコンの上に据えてあるという仕様(誰が施工したんだ!)でしたので、人力ではとてもラチがあかず、小型の重機を使っての掘り出しになりました。

15年で寿命を迎えたデッキ。
これをどう見るかは人それぞれだろうと思います。

アルミ製の物を選べば、こと躯体(床板は除いて)に限ればほぼメインテナンスフリーで2~30年はもつのですから、なかなかそれに勝るものは見つかりません。

もし木製のものにアドバンテージを見いだすとすれば、その素材の持つ柔らかさ、肌触り、廃棄物になった時の再利用性の高さなどでしょうか。

また、より長持ちさせたいとするなら
1.雨ざらしを避け屋根をかける。
2.雨ざらしが避けられないのなら、より耐久性の高い南洋材(「イペ」「セラガンバツウ」ただしお値段もそれなり)を選ぶ。
などの方法もあります。

費用対効果をどう考えるかは人それぞれです。
施工サイドとしては、できるだけ多くの情報を提供して最後は依頼主さんに選んでいただく、そう心がけています。

これまでのコメント

  • 伊那の大工 より:

    Unknown
    凍上の問題さえなければ、ここまでにする必要はないのですが、やはりここは信州、これでも最低限の仕様です。

    できるだけ再利用可能な仕様を見つけるべく知恵を絞ってみます。

  • 2馬力の釣り師 より:

    Unknown
    ラジコン飛行機を手作りしている人が言っていましたが、軽量化が命のラジコン機は、強度との闘いです。
    飛行中には充分な機体の強度があるが、墜落した時には跡形もなくバラバラになるのが理想なんだそうです。
    そう考えると、やはりこれは素晴らしいオーバースペックですな。笑

  • 伊那の大工 より:

    Unknown
    できるだけ丈夫に・・・が施工時のモットーだからついこうなってしまうんだな。

    ある程度寿命が読めるものについては、解体のしやすさも考えながら施工しなければ、というのが今回得た貴重な教訓。

  • 重機登場
    いやー、やっぱり重機の出番になったか。
    素晴らしいオーバークオリティだな。

    まあ、またやるとしても似たようなことになるんだろうけど。

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役目を終えて 大工を生業として25年。趣味の長距離走、渓流魚との戯れなど日々の思いを綴ってみます。

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